アラジール症候群とはどんな病気?
アラジール症候群とは、遺伝性の病気で、食物の消化・吸収を助ける「胆汁」の通り道(胆管)がうまくつくられないことにより、肝臓の中に胆汁がたまってしまう病気です。
主な症状としてかゆみ、肝臓や心臓など臓器の障害、血管の狭まりやこぶ(動脈瘤)、眼や骨などの異常があります。
また、アラジール症候群の患者さんは幅広い額やとがった顎など、顔立ちに特徴があらわれることもあります。特徴的な顔立ちは幼児期からみられることがありますが、日本人ではこの特徴があらわれない場合もあります。
アラジール症候群は新生児期や乳児期から
黄疸
(肌や白眼が黄色くなる)や、母子健康手帳に入っている便色カードを確認して色の薄い便からわかることが多く、世界では3万〜5万人に1人1)がアラジール症候群と診断されており、日本では約200〜300人2)の患者さんがいるとされています。
また、アラジール症候群は「小児慢性特定疾病」や「指定難病」に指定されています。
なぜ肝臓に胆汁がたまってしまうの?3)
胆汁は肝臓でつくられた後、胆のう・胆道を通って小腸に排出され、ビタミンや脂質などの栄養素の吸収を助けた後に小腸の末端部で「回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)」という器官のはたらきにより再度吸収され、血中を通って肝臓に戻っていきます。
アラジール症候群の患者さんでは肝臓で作られた胆汁が小腸へ排出されにくくなる、もしくは排出されなくなるため肝臓に胆汁がたまってしまいます。胆汁が肝臓にたまることにより、皮膚のかゆみや肝臓の障害など様々な症状の原因となります。
図. 正常な胆汁(胆汁酸)の流れ

図. 胆汁うっ滞している様子

1)Kamath BM, et al. Alagille Syndrome: Pathogenesis and
Clinical Management. Springer, 2018.
2)厚生労働省. 297 アラジール症候群.(https://
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/
bunya/0000079293.html[外部サイトに移動します])
(2025年4月閲覧)
3)Kamath BM, et al. Liver Int. 2020; 40(8): 1812-1822.
著者に米国の製造販売元であるMirum Pharmaceuticals, Inc.の
コンサルタントを務めている者が含まれる。